〈アンダーライン箇所 P105〉
「人の君主となって、自分で百官を観察するとなると、時間もたりなければ、能力も及ばない。それに上にいる者が目で見分けようとすると、下々ではうわべの見せかけを飾りたて、上にいる者が耳で聞きわけようとすると、下々ではきこえよくつくろい、上にいるものが頭で考えようとすると、下々では弁舌をまくしたてる。古代の聖王はこうした三つのことでは十分でないと考え、そこで自分の能力は捨てて法術にたよることとし、賞罰の基準をはっきりと立てた。」

「韓非は法家思想の大成者とされる。彼に先立つ前駆的な法思想を受けついで、修正を加えながら総合して新しい体系を樹立したからである。彼が受けついだ思想は、商鞅(しょうおう)の「法」と申不害(しんふがい)の「術」と慎到(しんとう)の「勢」であった。」
サラリーマン時代、管理される立場で読んだ韓非子は性に合いませんでしたが、経営者の立場で読む韓非子は丞相が皇太子に読み聞かせるテキストのような必ず身につけるべき知恵であると思うようになりました。